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コントラクト・ラミー
(Contract Rummy)

2005/12/3 赤桐

 Rummyの仲間のゲームで昔からある程度の人気を保持しているゲームです。さまざまな別名があります。例えば: Liberpool Rummy, Progressive Rummy Shanghai Rummyなど。ルールも様々なバリエーションがあります。ジャマイカン・カルーキもこのゲームの仲間です。

 Richard L. Frei氏によるとRuth Anderthon という人が作った Zioncheck というゲームがこのゲームの原型だそうです。

 ルールは John McLeod氏のホームページ(http://www.pagat.com/)のものに従いました。

プレイヤー

 3人〜5人。4人がベストです。

カード

 52枚のトランプを2組と、プレイヤーの数より1つ少ない枚数のジョーカーを使います。つまり、3人のときは106枚、4人のときは107枚、5人のときは108枚のカードを使います。

 カードのランクは(低)10(高)の順です。は最も下のカードとしても最も上のカードとしても使えるわけです。

 カードの点数は次の通りです。この点数はプレイの最後にこれらのカードが手札に残っていたときの罰点です。

ジョーカー 15点
15点
Q 10点
10 その数字の点数

メルド

 特定の組み合わせの1組のカードのことです。ただし、このゲームでは表向きにテーブルに出さないとメルドとは認められません。

 このゲームの目的は、手札からメルドを作っていくことです。

 メルドには次の2種類があります。

[シークエンス(Sequence、ラン run)]

 同じスートの4枚かそれ以上の続き札のことです。例えば、SS10SSの4枚はシークエンスになっています。

 エース)はの下のカードとして、---4というようにつながります。また、の上のカードとしてJ---というようにもつながります。しかし、---というようにはつながりません。

[グループ(Group)]

 3枚以上の同じランクのカードです。例えば、HSCの3枚はグループになっています。カードのスートに同ランク同スートのカードがあってもかまいません。

ジョーカー

 ジョーカーワイルドカード(代札)です。メルドにおいて、どのカードの代わりにでも使うことができます。

 ジョーカーを使うときにはどのカードの代わりにするかがはっきり分かるようにしなければなりません。ただしグループのメルドの場合にはどのスートのカードの代わりにするかを言う必要はありません。

 ジョーカーの使用制限はありません。

ディール

 最初のディーラー任意に決めます。次回からは時計回りに交替します。

 ディーラーは1ディール目から3ディール目までは各プレイヤーに10枚ずつカードを配ります。4ディール目以降は12枚ずつ配ります。ディーラーは1枚ずつカードを配ります

 残ったカードは山札としてテーブル中央に裏向きに置きます。山札の一番上のカードは表にされて山札の横に置かれます。これが最初の捨て札となります。プレイ中の捨て札はこの上に置かれ、捨て札の山となります。

プレイ

 プレイは時計回りに行われます。最初にプレイするのはディーラーの左隣のプレイヤーです。

 各プレイヤーのプレイは次のように行います。

 )まず、山札の一番上のカードまたは捨て札の山の一番上のカードを1枚取って手札に加えます。これをドロー(Draw)といいます。

 )次に、可能ならば、メルドを作ったりレイオフというプレイをすることができます。可能な場合でも、しなくてもかまいません。これについてはこのあと説明します。

 )最後に、手札から1枚のカードを捨て札します。捨てるカードは捨て札の山の上に表向きに置きます。

メルドの作り方(Melding、Laying Down)

 手札でメルドの組み合わせになっているカードは、テーブルに表向きに置かなければメルドとは認められません。

 このゲームでは各プレイヤーが最初にメルドを作るためにはコントラクトの内容通りのメルドを1度に出さなければなりません。次の表のように何ディール目かでコントラクトの内容は変わります。

ディール順 コントラクト
1
3枚のグループを2組
2
3枚のグループを1組と、4枚のシークエンスを1組
3
4枚のシークエンスを2組
4
3枚のグループを3組
5
3枚のグループを2組と、4枚のシークエンスを1組
6
3枚のグループを1組と、4枚のシークエンスを2組
7
4枚のシークエンスを3組

 例えば、最初のディールでは「3枚のグループを2組」となっていますので、3枚のカードからなるグループ2組を一度に出さなければなりません。2番目のディールは「3枚のグループを1組と、4枚のシークエンスを1組」なので3枚のカードからなるグループ1組と4枚のカードからなるシークエンス2組を一度に出さないといけません。

 最初のメルドのときには、コントラクトに決められたちょうどのメルドしか行うことができません。グループは3枚でなければなりませんので、4枚のグループを作ることができてもそうしてはいけません。シークエンスについても同様です。定められたより多くのメルドを作ることもできません。また、最初にメルドを行った番に、後述するレイオフをすることもできません。

 最初のメルドでシークエンスを2組以上作る必要がある場合、HHHHHH10HHQのようにシークエンスとして続いているものを2組としてメルドすることはできません。HHHHH10HJHQHKのように少しでも離れていたり、HHHHHHH10HJのよう重なったりしていたら大丈夫です。この制限は最初のメルドだけです。

 最初のメルドの次の番からは、自由にメルドを作ることができます。

レイオフ(laying off)

 レイオフとは自分または他のプレイヤーのメルドにカードを付け加えることです。もちろん、付け加えてもメルドの条件を満たしていることが条件です。

 例えばHSSのグループがあるならば、手札にDを持っていれば、それをレイオフすることができます。また、CC10CCQのシークエンスに対して、CKCをレイオフすることができます。

 ジョーカーをレイオフすることも自由にできます。

 特別なレイオフとして、ジョーカーを含んだシークエンスについて、ジョーカーが代わりをしているカードの本物を持っているプレイヤーは、そのカードをジョーカーの位置にレイオフすることができます。そのジョーカーはどこかのメルドにレイオフしなければなりません。どこにレイオフするかは、プレイヤーの自由ですが、手札に入れることはできません。そのジョーカーと手札を組み合わせて新しいメルドを作ることもできません。

 レイオフのプレイをすることができるのは、それ以前の番にメルドをしているプレイヤーだけです(最初のメルドをしたその番でレイオフすることはできません)。

メイアイ("May I")

 メイアイは特別なプレイの方法です。

 自分の番のプレイヤーが捨て札を取らないで山札からドローしようとした場合には、他のプレイヤーは誰でも、メイアイと言って捨て札の一番上のカードを取ることができます。

 何人かがメイアイを宣言した場合には、自分の番のプレイヤーから時計回の方向で最も近いプレイヤーが捨て札をることができます。

 メイアイで捨て札を取った場合には、山札の一番上のカードも1枚ドローしなければなりません。そのプレイヤーはそのときにはプレイ(メルド、レイオフ、捨て札)はできません。

 捨て札がメイアイで取られた場合、その下の捨て札は自分の番のプレイヤーが取ることができます。そうしなかった場合は、他のプレイヤーはメイアイを宣言してそのカードを取ることができます。

 つまり、次のことを繰り返すわけです

  1. 自分の番のプレイヤーは、捨て札を取るか山札をドローするかを決める。
  2. 捨て札を取った場合は、この繰り返しは終了してプレイに移る。
  3. 自分の番のプレイヤーが山札を取ろうとした場合、他のプレイヤーはメイアイするかしないかを決める。
  4. 誰もメイアイしない場合には、自分の番のプレイヤーは山札をドローする。この繰り返しは終了してプレイ移る。
  5. 誰かがメイアイした場合には、メイアイしたプレイヤーは捨て札を1枚と山札を1枚取る。
  6. これによって捨て札がなくなった場合には、この繰り返しは終了となり、自分の番のプレイヤーは山札をドローしてプレイを行う。
  7. 捨て札がまだある場合には、1に戻る。

 メイアイで捨て札を取ったプレイヤーは、捨て札と山札から1枚ずつ取るだけで、プレイはできないことのご注意ください。メイアイがあってもなくても、プレイするのは必ず本来の番のプレイヤーです。

 メイアイは何度でもできますが、あるプレイヤーの番のときに、同じプレイヤーが続けて2回メイアイをすることはできません。

 なお、ディールの時に最初の捨て札としてテーブルに表向きに置いたカードに対しても、メイアイをすることができます。

 また、自分が捨て札したカードに対してメイアイをすることも禁止されてはいないようです。

 自分の番のプレイヤーがメイアイすることはできません。

プレイの終了

 誰かがメルドやレイオフや捨て札によって手札がなくなると、プレイが終了します。つまり、捨て札をしないで手札がなくなっても、捨て札をすることにより手札がなくなってもかまいません。

山札がなくなった場合

 プレイヤーが山札を取ろうとしたときに山札が一枚もなかった場合には、ディーラーが最も上の1枚以外の捨て札をすべて取り、シャッフルして山札とします。

 山札がなくて捨て札も1枚か0枚しかない場合には、そこで終了となります。全員が自分の罰点を計算します。

7ディール目の特別ルール

 7ディール目では、最初のメルドで4枚以上のシークセンスを作ったり、コントラクト以上のメルドを作ることができます。ただし、最初のメルドで上がらなければなりません。

得点

 手札がなくなったプレイヤーを除いて、各プレイヤーはメルドしていない自分の手札の点数を合計して、罰点として記入します。手札の中でグループやシークエンスになっていても罰点を減らしたりはしません。

ゲーム

 7ディール終わって、罰点の合計の最も少ないプレイヤーが勝ちになります。


 本文はJohn McLeod氏のホームページのルールによりますが、伝統的なルールブックによるものでは次のような違いがあります。

1.本文ではメイアイで捨て札を取ったあと、さらにその下の捨て札をメイアイで取ることができていますが、伝統的なルールブックではこのようなことはできません。

2.3人〜8人がプレイ可能ということにして、3人〜4人では2パック、5人以上では3パック使用とすることが多いようです。ジョーカーの数は、3人〜4人の場合1枚、2枚、4枚など、4人以上の場合、2枚、3枚、6枚など。

3.シークエンスは3枚でも良いというルールが多いようですが、4枚でなくてはというルールもあります。(3枚でも良い場合は、コントラクトの「4枚のシークエンス」は「3枚のシークエンス」に読み替えてください。)

4.コントラクトで作ったグループやシークエンス以外に新たなグループやシークエンスを作ることはできないというルールがあることが多いです。

 なお、自分の番の捨て札を取るのを「メイアイ」としましたが、これは今回のルール説明のため"May I"という発声からにそう名づけたもので、本来の用語ではありません。また、"May I"という発声も伝統的なルールブックには記述されておらず、本来は捨て札を取りたいという意思を表明できればどのように言っても良いようです。


 2005年の収穫の1つはコントラクトラミーの類のゲームを「発見」できたことでした。コントラクトラミーというものの存在は知っていたのですが、メイアイのルールを見逃していたため、このゲームのユニークさが分かっていませんでした。

 コントラクトラミーの類のゲームは、最高に知的なゲームとは言えないですが、とてもスリリングで楽しめるゲームです。

 8月になかよし村でコントラクトラミーの仲間であるジャマイカン・カルーキをして、とても面白かったのですが、12月にこのゲームをなかよし村でプレイしたときも、やはり楽しめました。どちらが良かったとは言えないのですが、このゲームのほうがメイアイを何度も言えるので、考える要素が多かったように思います。

 ただ、1人のメイアイのあとに続けてメイアイができるというルールは、煩雑な感じがするので、ないほうが良いかもしれません。